山の家の休日 2 月 はじめての草木染め
- 起糸
- 2月11日
- 読了時間: 11分
更新日:3月15日
こんにちは
起糸です。
今日は、
山の家で過ごした
プチバカンスについて
気ままに綴っていきたいと思います。
・チャレンジ草木染め
・山の家のご飯のこと
・樹木の伐採のこと
・清らかな流れのこと
草木染めにチャレンジしようと
心決めたのは先月でした。
びわの木を剪定したことから
大量に出たびわの葉っぱを
どうにかして使ってみようと
考えたのが発端でした。
草木染めをするにあたって
山の家にやってくるまでの
この 1 ヶ月の間に
日常のすきま時間を使って
いろんな支度や準備を進めてきました。
特に、
草木染めに心なしか惹かれたのか
これまでの私のチャレンジに対する
夫の態度が一変。
夫自身が積極的に動いてくれたのが
とても助かりました。
わざわざ仕事帰りに
バケツの下見に足を運んだり
まるで自分が染め物をするように
ネット上で使える鍋を探したり
染める布地や毛糸を選びに
一緒に出かけてくれたり
いろんな協力がありました。
布地が手に入ると
1 週間ほど
精練、濃染と言われる下処理に当て
毛糸は玉をほぐして
染めやすく準備しました。
そして、
染めで最も大事な染液を作るために
玉ねぎの皮をせっせとむいては
溜めていました。
はじめはビニール袋の中に
溜めていたのを
腐るからと夫に見咎められ
専用の洗濯ネットを 100均で購入し
あてがうことにしました。
皮をむいてはネットに入れて
ぶら下げてかびないよう乾かしました。
びわの葉以外に
玉ねぎの皮を選んだのは
参照書籍に染めやすいと
あったのもありましたが
何よりも、
普段はゴミとして
捨ててしまうものだったので
エコロジカルな視点で
チョイスした訳です。
さて、
山の家に到着して翌日に
その玉ねぎの皮から
染液を作る準びをしました。
染めるものはリネン 100%の布地と
ウール100%の毛糸。
ここで余談ですが
リネンは麻と混同しがちですが
麻ではありません。
亜麻の繊維から
織り上げられた布地なのです。
亜麻の種子から得られた
オイルは亜麻仁油で
オメガ 3 系脂肪酸豊富な
フラックスシードオイルとも言われます。
亜麻の花は美しい青色をしています。
さて、
話を草木染めに戻しましょう。
はじめての草木染めの手順は
まだ頭に入っておらず
やり始めてから
書籍をじっくり読み進めました。
手始めにリネンから。
玉ねぎの染液が出来上がったら
リネンを漬け込んでいきます。
純白なリネンが
玉ねぎの皮から
本当にびっくりするくらい
鮮やかなオレンジ色に染まりました。
同じく玉ねぎの染液で
ウールも染めていくのですが
染めの工程がリネンとは
異なるのだから面白い。
リネンは植物性で
ウールは動物性の違いなのでしょうか。。
染色の最中は
毛糸のさばき方が下手くそで
ぐちゃぐちゃになってしまいました。
ウールを染めた後は
大きく成長したコニファーに吊るし
水気を切りました。
風に揺られると
まるで森のお化けのよう。
ウールもリネンと同じように
きれいに染まりました。
ぐちゃぐちゃになった毛糸を
きれいにほぐして丸めました。
玉ねぎの皮から
こんな風に染まるなんて
あっと驚き
本当にすごい体験。
染めの工程は
聞いたことのない専門用語もあり
なんだか難しそうでしたが
書籍に沿って進めれば
誰にでも楽しめるものだということが
今回やってみて分かりました。
参照した書籍はその名も
「おうちで楽しむ草木染め」
小室真以人著です。
プロの植物染色研究家さんです。
書籍のタイトルが素晴らしいですよね。
今回草木染めに使用したものは
食品や普段使っている洗剤で
本来なら捨ててしまうだけの
玉ねぎの皮から
こんな素敵な草木染めができて
とてもエコです。
草木染めの後の玉ねぎの皮は
生ごみ乾燥機に入れて堆肥にします。
夫がこんなことを言っていました。
中華屋さんで
玉ねぎの皮をたくさん干していたから
何に使うのか
聞いたことがあるそうで
中華の出汁にするそうです。
草木染めするまで知らなかったけれど
玉ねぎの皮って
いろいろな方面で役に立つのですね。
実は、
ウールの玉ねぎ染めの後
コーヒーでも染めてみたのですが
コーヒーについては
次回に譲ることにしますね。
大量に出たびわの葉が
発端であった草木染め。
そのびわの葉の染液は
作ってから数日寝かすということを知り
今回は玉ねぎ染めだけで
時間を取ってしまい
残念ながら、
時間切れとなりました。
びわの葉も次回に譲ることにしましょう。
さて、
山の家のご飯に話題は移ります。
山の美味しい空気と水のもと
非日常の空間で味わうご飯は
格別に美味しいもの。
山の家のひとときを
家族それぞれが楽しむために
食事作りは当番制です。
朝は私で、夜は夫の一日二食が定番。
今回山へやってきた目的に
庭木の伐採がありました。
肉体労働するため
良質なタンパク源を
朝からたっぷり
摂れるよう心がけました。
山にはおもちゃのフライパンしかないので
中華鍋でオムレツ作ったり
ソーセージを転がして焼いたりします。
まぁ、適当な手抜き朝ごはんです。
夕ご飯は、
買い出しの際に
お野菜がとても美味しそうだったので
いつものトマト煮込みパスタに加え
お鍋のメニューも入れました。
大きな春の芽と
うるいというギボウシの若芽を
たっぷり入れたお鍋です。
ギボウシは林の合間に生きる
山野草的な存在で
葉の色合いが様々あり
庭に植えるガーデナーの人気植物です。
山の家の庭先にも所々植わっています。
薄紫色の花も素敵なんですよ。
下に、ギボウシの写真も掲載しますね。
夫が独身時代から使っている
こたつで取る食事は
小さな食卓であるがゆえに
自宅にいる時よりずっと
近距離で座ることになります。
静かな夜のしじまに
ぴったりと寄り添う夫婦は
同じ場所で同じものをいただき
同じ時間を過ごす運命共同体。
静かな山の夜は
何よりもそれを強く感じます。
最後の話題は、
恐るべし庭木の伐採です。
20 数年前に家を建てた当初は
砂利だらけの土を敷き詰めた
粗末な庭でしたが
今では、
もみの木や様々な種類のコニファー
スモークツリーやびわの木
月桂樹にモッコウバラの垣根
つげの木にもみじ
藤に金木犀
チェストベリーに紫陽花
それらの合間を縫って
アイビーやお洒落なオカメヅタ
クレマチスにハーブたち
大好きな草花が茂っています。
これまでは
成長することが最良と考え
庭木をバッサリ伐採する発想が皆無でした。
シルバーグリーンのコニファーは
(草木染め後水切りに吊り下げた木)
二階建ての家屋の屋根を越す高さまで育ち
植木屋さんでクレーン車を使う以外
伐採は不可能な状態ですが
それ以外なら
脚立を立てて手を伸ばせば
なんとか切れそうです。
針葉樹は 3 月に切ることを
講座を通して知りましたが
来月は 3 月中旬後半になるため
枯れてしまうのを覚悟で
もみの木は半分ほど
その他は屋根や電線にかからないように
今回伐採してしまうことにしました。
先月はびわの木と月桂樹を
小さなノコギリで頑張った夫は
それでは埒があかないことを
身をもって知った様子で
腰ベルトに収まる
ハンディチェンソーを購入し
今回に備えていました。
樹木を見上げてどう切ろうか
切った後の幹の倒れ方など
イメージしながら
いざ、脚立をのぼり
腰ベルトに手をかけ
チェンソーをぎゅと握りしめる夫。
私も手伝おうかと申し出たのですが
終わった後であそこが痛い、
ここが痛いと聞くのも嫌なので
こたつで編み物でもしててと言われてしまい
大人しく言うことを聞いて
せっせと棒針で運指していたら
めりめりドッスンという
聞いたこともない物音と
地響きが突然起こり
驚いて庭を見に行くこと三度。
大きくしげったもみの木や
コニファーたちが
ハンディチェンソーに屈してしまった
その勇姿を見届けることに。
倒れた辺りは無惨な埃とともに
森の香りが漂っています。
しかし、
私の大事なクリスマスローズが
ぺちゃんこになっているのを発見し
あっ!!と大声を挙げてしまったのは
もみの木に失礼だったかもしれません。
残された幹の切れ目に
バイ菌に感染しないように
夫が薪ストーブの灰を
きれいに塗りつけてくれました。
倒した幹は薪にすると言って
薪棚をいっぱいにしていましたが
針葉樹を燃焼させた時に
煙突がヤニで詰まらないか心配です。
たまにしか来ないから
大丈夫だよと夫は言いますが。
まぁ、
春になって途切れた半分の幹に
新芽が吹くことを願うばかりです。
こうして
自分たちで無計画に
植えてしまった樹木の始末を
自力で管理するには
今の年齢が限界かもしれません。
できるところだけでも
なんとか決着をつけられたことに
安堵しました。
私たちがこの世を去った後
次世代に残すこの家を
剪定に多大な労力をかけさせるのは
忍びないものがありますから。
せめて、できることだけでも
やっておきたいのです。
そろそろ計画していたことが
全て実行できた最終日、
夏の日の草木染めのために
夫が川に降りて行く道の
雑草狩りをしてくれました。
これまでに比較して
あまりにも短時間で終わらせたので
もしかしたら
愛しのハンディチェンソーを
使ったのかもしれません。
実際に草木染めをして分かったことですが
熱をかけて染める毛糸は
室温まで温度を落としてから
次の工程に移る必要があり
身も凍る冬だったから
冷たいデッキに出しておけば
楽に冷ますことができたけれど
夏は冷房のない室内では
完全に難しいから
夏でも水が冷たい川沿いで
草木染めできるんじゃないかと
話していたんです。
それで、
雑草に覆われた川への道を
まだアウトドア染めしてもいないのに
暇なのか整備してくれました。
せっかくだからと
カメラを片手に長靴を履きました。
実は、
2 年半前に朽ちたデッキを元通りに
修繕するのに合わせ
家の壁を塗り替え
屋根を新しく吹き替えました。
とても美しく生まれ変わった
山の家でしたが
去年のお正月からしばらく
きれいになった壁という壁
玄関先の柱や石畳に
ニスのような目立たないペンキで
どうしようもなく悪戯され続けました。
山に来ては
新たな悪戯を見つけることが
心臓が止まるほど心底怖い。
そのため
一番ひどくやられた玄関先に
近づくことが半年ほどできなかった。
山の家は私たちでデザインした家でした。
玄関先は特にお気に入りで
ここにやってきては必ず
ほうきで掃き清めるのが好きでした。
その玄関の石畳を
どの場所よりもひどく汚されて以来
玄関ドアはチェーンをかけたままに。
出入りは裏玄関かデッキで
自分の家なのに
注意深く汚れを見ないように
息をひそめながら
庭先の歩く範囲が狭まりました。
誰かが何度もやってきては
悪戯を繰り返したので
通りがかりの人ではないと
感じられるものでした。
山の家にやって来ると
必ず清い流れを訪れていましたが
悪戯があってからというもの
近所を歩くことが怖くなるだけでなく
家の庭先の狭い範囲以外は
外に出なくなってしまった経緯があります。
その後、
何事にも屈しない頭脳派の夫は
何かの薬剤と石を磨くための電動研磨器を購入し
悪戯の痕跡をほぼ見えないまでに
石畳をきれいに磨いてくれました。
四方の壁に残された悪戯はそのままに
汚れたままの方が
案外山の家を守れるような気がしています。
この一件以来
人生には魔の手が忍び寄るけれども
山の家が不運の全てを
引き取ってくれたんじゃないかと
命をも絶とうという
最悪の事態を考えれば
これまで以上に
山の家を大事にしようと思うのです。
今回、こうして
夫の気遣いがあって初めて
川まで降り立てた次第です。
本当に久しぶりの清らかな流れです。
家を建てた当初、庭先にあった
シュロの木の赤ちゃんを
夫が川へ降りる階段の脇にある
巨大な岩の合間に置いたシュロの木は
その後、根を張り
今では見上げるほど大きく育ち
この頃では花房をたくさん垂らし
結実するようになりました。
きっと今日も青空の下で
谷を流れる風に
葉をフルフルと震わせているでしょう。
その岩の合間は
年々隙間幅が広がるようで
嵐の際、
ほとばしる小川の勢いに
わずかながらも
長年動かされている様子です。
水のしずくが岩をも穿つとはよく言いますが
山では、
実際に目で見て
森羅万象パワーが確認できるほどです。
今日は、
山の家で過ごした
プチバカンスについて
気ままに綴りました。
・チャレンジ草木染め
・山の家のご飯のこと
・樹木の伐採のこと
・清らかな流れのこと
次回は、
コーヒー染めだけでなく
びわの葉染めについて
レポートできたらと思います。
お日さまと土と風と水を感じながら
植物とともにある暮らしに癒されて
ありのままでいられる暮らし
起糸でした。
バイバイ。